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浦和家庭裁判所 昭和44年(少)2469号 決定

少年 T・J(昭二四・九・二一生)

主文

本件を浦和地方検察庁検察官に送致する。

理由

本件は昭和四四年九月一六日当裁判所において事件受理したものであるが、記録中の戸籍謄本によると少年の生年月日は昭和二四年九月二一日であり昭和四四年九月二〇日限りで少年は二〇歳に達することが明らかであるところ本件事案の性質に照し、右の期間内では少年の適正な処遇を決するための調査、審判を遂げることは到底不可能であることが明白である。

しかして、このような場合には決定時においては未だ二〇歳未満であつても少年法一九条二項の「本人が二〇歳以上であることが明白であることが判明したとき」に該当するものと解するのが相当である。

よつて同法同条同項により主文のとおり決定する。

(裁判官 尾方滋)

参考

犯罪事実

被疑者は、大宮市○○×丁目○○○○番地佐官職T・Tの二男であるが日頃怠け者のため、父母から事毎に叱言を言われお菜が不味いと我儘を言つて実母T・B子五七歳に文句を言われかあつとなつてこれを突き飛ばして傷害を負わせ、本年八月下旬頃には、実父T・Tに「お前みたいな親不孝者は出て行け」と罵倒され向つ腹を立ててうちを飛び出すなどの事もあつたところ九月○日に作業場で足をすべらせて落ちた際実父から注意しないからだと頭から叱かられたのを恨んでいたところ九月△日の晩仕事から遅く帰つたのに食事の面倒も見て貰えないので、日頃のうつぷんを晴らすため両親の殺害を決意し同年九月×日午前〇時十五分頃起き出して居宅縁の下から太さ八糎の角材長さ四十糎位を持ち出し、隣室八畳間に寝ていた両親の頭部を目がけて両手で持つて二回ずつ強打頭部を粉砕骨折させて殺害した上、発覚を怖れて右両人の死体の両手両足をネクタイ、布切れで縛りT・T、T・B子の順に居宅から南方約二百米離れた同市○○×丁目○○○○番地の西側道路上までかついで運び同所で止めの意味で更らに角材で両名の頭部を強打して同所畑の隅の堆肥の山かげに入れてごみ、泥土をかぶせてもつて両名の死体を遺棄したものである。

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